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見知らぬ人の言葉 旅の空

by kumami

-求めずして与えられた言葉-

「おはようございます」

神の領域への最初の入り口。

すれ違った男性。

黒のスーツに白いシャツ。

神官?陰陽師?

「その木の中の観音様を覗いてごらんなさい。すごいですよ。」

木を見たくて、また訪れたと言うおじさん。

「バスはあと五分くらいで来ますよ。」

風呂屋の前のバス停。

黄色のウィンドブレーカー、背の高い、黒目の位置が左右ずれているおじさん。

なかなか来ないバスを一緒に待つ。

来ませんね。

始発はどこですか?

あ、来ましたよ。

「どうぞお先に。」

「〇〇さん?・・・よく似てらっしゃる。」

宿の近くのバス停。

夏、バスは渋滞で一時間以上遅れること、シーズンに関係なく来ない田舎のバスの話、田舎の話。。

「・・・私も・・・」

バスのドアが開いて、その後の言葉は小柄で言葉遣いのきれいな、地味な服装の、けれど品のにじみ出る初老の婦人の胸の中から出られずに消えた。

「変だな・・・この静かさは。なんだろうな。」

街のケーキカフェのおやじさん。

誰もいないカフェ。

通行人の姿もほとんどない。

旅の空の下で、他人は優しい。

背の青い、腹の赤い鳥が、鳥居の向こうで遊んでいた。

日常の孤独と、旅の空の孤独の違いは、特別何もない。

強いて言えば、ほんの少し旅の空の下は人恋しい。

二〇〇六年四月一六日 伊豆下田にて

カメラはオリンパスμ

(さっそく縦書きをしてみたくて、でも写真も縦書きに合いそうな文章も思い浮かばず。過去の日記ブログからひろってきました。シーンの設定が慣れません。あと、文字変換の窓がすごくじゃまでした。更新後、文章の一部が消えてました。)

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